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2013年11月 4日 (月)

石川啄木伝 東京編 189

 出勤し社で18円前借りした。金ができたので浅草へ行って活動写真を見、お定まりコース塔下苑へ。12時に帰って下宿へ10円納め、残りは5円。
 この6日間ローマ字で日記をつけてみて、つぎのことを実感したと思われる。
 漢字仮名交じり文は書いた内容が反射的に紙面から返ってくる。これに反しローマ字で書いた文章は、1字1字読み直すことを要求する。つまり書いた瞬間に視覚的印象から相対的に独立した一つの世界になってしまう。別な言い方をすれば、書いたものは紙面に吸収されてゆく一方で、書くほどに向こう側(紙面)に堆積してしまう。書きたいけれどその書いたものは読み返したくないという書き手には、これはありがたい作用である。
 啄木はこれまで見てきたようにたとえば「連想」や「足跡」で、自然主義者にならって自己告白しようと試みた。できなかった。しかしローマ字でならそれが可能ではないかと判断したらしい。

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