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2013年12月14日 (土)

石川啄木伝 東京編 209

 しかもこれは一つの自己告白なのである。自然主義の出現なしにはこういう告白はあり得なかったであろうが、その自然主義者の自己告白をはるかに超えている。これほど凄まじい自己告白の文章は、平岡の言うとおり外に考えられない。
 啄木は「連想」「赤痢」「足跡」等で試みてどうしてもできなかった自己告白をこういう形でやってのけたのである。
 可笑しいのは、これほどの自己告白ができる啄木なのに、「連想」等で試みた方の自己告白(つまり自己の正体の直視)はどうしてもできないと言うことである。そしてできない方の自己告白の極度の困難こそがローマ字日記の真のテーマなのである。こちらの抵抗のいかに頑強なことか! 以下にそれを見て行くことになろう。
 なお、Masaと過ごした一夜の描写は、一部の女性の嫌悪感を招いているが、本文をよく読めば分かるとおり、Masaへの虐待ではない。Masaは悦んでいるのである。ある男女の密室での一つのあり方である。
 実はこの日の夜は「パンの大会」の日であった。会場は永代橋東詰の永代亭。上京中の京都帝大教授上田敏を客として迎え、十数人の詩人・芸術家たち青春の大宴会は盛り上がりに盛り上がった。

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