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2014年1月16日 (木)

石川啄木伝 東京編 225

 4月18日
 節子からはがきが届く。啄木は息をぬく間もなく、金と家族に責めたてられる。今日は家族だ。京子が近ごろまた具合がわるいという。夫がいないので心細い、手紙がほしいという。今日は11時ころまで床の中で、社に行こうか行くまいかと迷っていた(!?)啄木だが、「To-ni-kaku Sha ni yuku koto ni shita.」。節子のはがきを読んで、気をとりなおしたのと、女中どもに「今日も休んでる」と思われたくなかったからだ。でも、「Nani, Iya ni nattara Tochu kara dokka e asobi ni iko !」。朝日新聞社もとんだ社員をかかえたものである。
 文学のデーモンにとりつかれている当の啄木にとっては、老母も愛妻もいとし子さえも束縛なのだ。会社など、それ以下であっても不思議はない。しかしまた「社」こそ森鷗外が言ってくれたように「パンの木」であって、文字どおり命の素であることも啄木は分かっている。だからこの日から28日まで一度も休みをとらないで、出社する。
 社では校正の合間に、小樽で新聞を起こすことを空想し、ロシア領の北樺太へ行っていろいろの国事犯に会うことなどを妄想する。北海道旭川でイギリス人女性の下で「神のため」に働いている妹の光子からの長い手紙に接し、「awarenaru Imoto wo omo no jo(思うの情) ni taenu.」と記す。そして父母、光子、妻子で一緒に晩餐をとることができたら……と思う。

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