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2014年1月26日 (日)

石川啄木伝 東京編 230

 この感懐はつぎの歌に結晶する。 
  快きあはれこの疲れ息もつかず仕事をしたる後のこの疲れ
 五月に出た「莫復問」から数首引いてみよう。
  森の奥より銃声聞こゆあはれあはれ自ら死ぬる音のよろしさ
  空家
に入り煙草のみたることありき独り在りたき切なる願ひに
  そことなく蜜柑の皮の焼くる如きにほひ残りて夕となりぬ
  うら悲しき夜の物の音
(ね)洩れくるを拾ふが如くさまよひ行きぬ
  ひとならび泳げる如き家々の高低
(たかひく)の軒に冬の日の舞ふ
 4月24日
 金田一が書けと励ましてくれるが興がわかない。
 下宿・女中からの「虐待」はあるものの、この数日間は少々平穏である。そろそろ何かが起こりそうだ。
 4月25日
 25日は給料日だ。現金7円と18円分の前借証とを受けとる。7円とはいえ金がはいった以上落ちつかなくなるのは必定だ。7円があるうちは金をもったときの逃避行動のパターンがどこかで出るはずだ。金田一を誘って散歩へ。生まれてはじめて、不夜城吉原の見物だ。金田一も隅に置けない。これは2度目か3度目の吉原見物だとのこと。ふたりは帰宅してからも興奮がさめず、きわどい話をし、妄想を語り合って、寝る。

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