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2014年1月28日 (火)

石川啄木伝 東京編 231

 4月26日
  Me wo samasu to Hibachi no Hi ga kiete ita.  Atama no naka ga jime-jime shimette iru yo na Kokoromochi datta.
 貧乏な詩人はわずか7円の金を手にして気もそぞろになり、昨夜は吉原見物をしたのだったが、欲求不満がのこる。今ある6円なにがしのうちから、”大金”何円かをはたいて、吉原は無理でも千束町で欲望をはらしてくるとしたら、自分の現在の事情からして、どんなに無謀かつ罪なことかを、一往は知っている。踏ん切りがつかぬ。それで「じめじめ」しているのであろう。
 そこへ並木からのはがきがついた。今月中に入質中の例の時計を返してほしいという。
  Sore wo miru to Yo no Atama wa sukkari kuraku, tumetaku, shimeri-kaette shimatta.
 並木もきのうが給料日だと知っているから、このはがきを出したのだろう。8円+利子がなければ請け出せぬ。もう6円なにがししか手持ちがないことであろう。2円か3円工面しなければ請け出すことはできないが、そんな工面の余地はどこにあろう。いやいや下宿代の催促が耐えられぬほどになされるであろう。10円や20円入れなければ、なにをいわれどんな待遇を受けることになるか。それどころか、もうすぐ家族が上京してくる!「暗く、冷たく、湿りかえ」るのももっともだ。

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