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2014年2月10日 (月)

石川啄木伝 東京編 237

 いくら甘ちゃんでも、言い出しかねて当然だろう。25日に給料が出た時には向後ひと月の生活の工面は立てているべきである。まして6月には家族が上京するのである。それが並木のはがきに驚き(驚く方がおかしい)、「今夜だけ遊ぼう」にかわり、おえんに2円も遣い、給料日の2日後に前借を申し出る。さすがの甘ちゃん啄木にも恥の気持はあろう。
 非凡なのは、そういう苦境、その時の自己の心理を精細にローマ字で描写しつづける点だ。この日記は単なる逃げ場なのだろうか。いったい何なのだ?
 さて、非常な苦境に変わりはない。
  Gake-shita no Ie de wa Nobori wo tateta.  Wakaba no Kaze ga Kazaguruma wo mawashi Koi to Fukinagashi wo Ha-zakura no ue ni oyogasete iru.
    Hayaku okite, Azabu Kasumicho ni Sato-shi wo tazune, Raigetsu-bun no Gekkyu Zenshaku no koto wo tanonda.  Kongetsu wa dame da kara Raigetsu no Hajime made matte kure to no koto de atta.

 実は昨夜金田一に電話で呼び出されて、日本橋の料理屋に行き、中島孤島と内山舜と4人で芸者をあげて飲んだのだ。1円がそこで消えている。そんなこともあって、今日は財布の中にはひしゃげた5厘銅貨1枚だ。

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