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2014年2月12日 (水)

石川啄木伝 東京編 238

 4月29日
 こうなったら小説を書いて金を得るしかない、としつっこい往生際のわるい啄木は書くことに挑戦する。「底」という小説だ。ただし社は休んでいる(電車賃がないし、工面して行っても前借はできぬ)。この日はよくペンが動く。
 4月30日
 今日も社を休んで書く。「底」を第3回まで書いた。3「回」というのだから金になる新聞小説を狙っているのだ。4月13日の日記にこうあった。「そうだ! 三十回ぐらいの新聞小説を書こう。それならあるいは、案外はやく金になるかも知れない」と。その時も書けなかった。この日も夜になるともう興は去った。
  Yoru ni naru to hatashite Saisoku ga kita.  Asu no Ban made mataseru koto ni suru.
 枕の上でツルゲーネフの「ルージン」(二葉亭訳の『うき草』)を読む。昨年10月31日に読んだのを再読しているのだ。あふれんばかりの才を抱きながら、何事をもなしえず年をとり、1848年の二月革命のときパリ街頭のバリケードで弾丸にあたって死んでゆく主人公ルージン。「空論家」「虚言家」「ゲザのたぐひ」のルージン。

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