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2014年3月16日 (日)

石川啄木伝 東京編 254

 暗い球形の部屋があるとする。真ん中にすわる人に向かって内側の面が全方向からひしひしと圧迫してくるとしたら、どんなにおそろしいであろう。啄木の心境はそのようなものではなかったかと思われる。
   Kagiri naki Zetubo no Yami ga toki-doki Yo no Me wo kuraku shita.  Shino to yu Kangae dake wa narubeku yosetsukenu yo ni shita.   Aru ban, do sureba ii no ka, kyu ni Me no Mae ga Makkura ni natta.
  「ローマ字日記」の白眉は4月10日の記述だという。皮相な読みだ。この日記の一字一字を追い、啄木の内面に沿って読みすすんでくるなら、「ローマ字日記」は4月13日からモチーフが明確になりはじめ、この5月8日――13日にクライマックスに達するのであることが分かるはずだ。そうだ、この6日間こそ「ローマ字日記」76日間中の最大の苦境、底の底、であった。さすがの啄木も、この時ばかりは一時的に精根尽きる。そして底に横たわっている。その啄木に最後の一打が振り下ろされる。
   Haha kara itamashii Kana no Tegami ga kita.  Sengetsu okutte yatta 1 yen no Rei ga itte aru.  Kyoko ni Natsu-boshi wo kabusetai kara Tsugo ga yokattara Kane wo okutte kure to itte kita.
 金田一がごちそうしてくれ、気をひきたててくれる。精根尽きたと、わたくしはいった。

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