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2014年3月18日 (火)

石川啄木伝 東京編 255

 しかしまだ「Atama ga chitte nanimo kakenu.」などと書きとめる。もう書かぬ、とはいわぬ。読み手の方までくるしくなる。「もうだめだ、やめろ、狂うぞ、死ぬぞ!」と叫びたくなる。メフィスト-フェレスとともにこう言ってやりたくなる。
  
  ……考えごとは一切やめて、
  まっしぐらに世間へのりだしましょう。
  申しておきますが、思索などやるやつは、
  悪霊に引きまわされて枯野原のなかを、
  ぐるぐる空回りしている家畜みたいなもんです、
  その外側には立派な緑の牧場があるというのに。    ゲーテ「ファウスト」

 まことに小説という悪霊にとりつかれた、いや正確には、「天才」という悪霊にとりつかれた啄木はただただ、枯野原の中をぐるぐる歩きまわるばかりだ。
   Yo wa ima Yo no Kokoro ni nan no Jishin naku, nan no Mokuteki mo naku, Asa kara Ban made Doyo to Fuan ni ottatererete iru koto wo shitte iru.  Nan no kimatta tokoro ga nai.  Kono saki do naru no ka ?   
 しかし、「ローマ字日記」の底はこの6日間だ。「緑の牧場」への細い細い道を、啄木は四日後横目に見る。

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