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2014年4月 8日 (火)

石川啄木伝 東京編 265

 また小説から評論へのりかえることで自らを欺きおおせる啄木ではないし、「直視」できぬ弱点は、王堂を読んだからといって短時日のうちに克服されるようなものでもない。王堂によって「枯野原」の端に細い細い、これまで目に入らなかった道があることに気づいただけだ。本人はまた「枯野原のなかを、ぐるぐる空回りし」つづけるであろう。
  Misoka wa kita. 
   Damatte Uchi ni mo orarenu no de, Gozen ni dekakete Haori ――tada ichi-mai no ―― wo Shichi ni irete 70 sen wo koshirae, Gogo, nan no Ate mo naku Ueno kara Tabata made Kisha ni notta.  Tada Kisha ni nori takatta no da.  Tabata de Hatake no naka no shiranu Machi wo urotsuite Tsuchi no ka wo akazu sutta.
    Kaette kite Yado e Moshiwake.
そうだ、今日は晦日だ。宿の催促は猛烈であろう。二週間も勤めに出ずに、部屋にくすぶっていたのだから。宿の方だってその間どんなにやきもきしたことであろう。質屋で70銭こしらえて、外出。金策にでも行くフリをしたのであろう。家を出てもゆくところなし。 
 上野駅から汽車に乗る。ふるさと方面に向かう汽車だ。田端駅で降りて、うろついて、土の香をあかず吸う。帰ってきて宿に申し訳。ここまでくれば、宿の方へ同情したくなる。

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