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2014年9月30日 (火)

石川啄木伝 東京編 277

 さて、同じ書簡のなかにこんなくだりがある。
  僕は例の浅草へ行つて寝て来た事があるよ。但しこれは僕が僕自身についての確信を失つた時に限つた事であつた。こゝにまだ一つ未決の問題がある。確信がなくなつた時に一種の自暴気味で行くのでは何だか詰らぬ。自分の生理状態がその要求を感じた時は、何日何時でも平気で行つて来る様でなけれやならんと思つてるが、どういふものか知ら。
 最後のセンテンス、おかしくはないか。妻が同居するようになってすでに24日がすぎている。郁雨はとうに帰った。夫婦の寝室も一往はある。それなのに「生理状態がその要求を感じ」るというのは夫婦間のセックスレスを意味していよう。やはり、妻が夫の要求を拒否しているのだ。
 手紙はさらに金が無い、金が無いと書きまくり、最後に借金を申し込みのための伏線を張りまくっている。そのなかに「一日から出社」の文字が見える。つまり6月いっぱい欠勤して7月1日から出社した、というのだ。郁雨との辛い別れを覚悟しつつ、いやいや上京してきた節子は出勤しない夫を半月間毎日見てくらすことになったのだ。

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