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2014年11月10日 (月)

石川啄木伝 東京編 297

 8月の啄木を知るための資料はほとんど無い。13日に書いた平山良子(良太郎)宛書簡が1通と、東京毎日新聞8月31日に載った「氷屋の旗」があるのみである。
 書簡の方は事務連絡に過ぎないので、役に立たない。「氷屋の旗」は執筆が7月の下旬(「汗に濡れつゝ」と同時期)とみなされるので 、8月の啄木を知るための資料とはなりえない。
 しかしこういうことは言えるであろう。7月下旬に始まった啄木の自己批判は8月にも確実に進行したであろう、と。
 啄木にその自己批判を迫ったのが節子の側からの「批判」であろう事はすでに見た。ただ、その「批判」は単にセックスの拒否いう形のみにはに留まらなかったであろう。
 結婚以来、夫は生業を軽んじ、自分一身のみならず家族を養うのにさえ人の懐(借金)を当てにして来た、家族はそのために貧苦と流浪にあえいだ来た、夫の「天才」を信じてきたけれど今は「ゲザ」のたぐいではないか疑っている、もううまい言葉はいらない、家族のことを考えているのなら行動で示して欲しい等々と。
 こういったたぐいの批判がまとまった形であるいは折に触れて、きびしくなされたと思われる。「聴く耳」のできてきた啄木には骨身にしみたはずである。

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