« 石川啄木伝 東京編 298 | トップページ | 石川啄木伝 東京編 300 »

2014年11月14日 (金)

石川啄木伝 東京編 299

 「欠席児童の督促」というのは、疲弊した農民たちがわが子を子守りなどの仕事に使うために欠席させるので、出校させるよう教師たちが「督促」してまわるのである。
 たとえば福富の組の子どもの出席率は6割2分である。実に4割ちかい欠席児童である。郡長が郡視学を通じて出席率向上を厳しく督促してくる。教師たちは督促にまわるとともに改善できぬ分は秘かにごまかして「月末報告」する。校長も内緒でその「秘訣」を大いに実行している。
 作者はこうして「足跡」の場合同様、国民皆教育の実像と農民の疲弊をもたくみにえがいてゆく 。
 農村部の郡長・郡視学・校長の低俗さとそれに見合った三者の関係もえぐる。
 数え年22歳の甲田の性欲がさりげなく描かれ、23歳の福富の生理休暇が話題になる職員室の雰囲気、甲田の福富への関心ぶり等が織りなして田舎教師たちの日常が浮き彫りされて行く。
 こうした描写について上田博は、田山花袋の『生』等で実行されている「平面描写論」の影響をうけていると指摘しているが 、その通りであろう。

« 石川啄木伝 東京編 298 | トップページ | 石川啄木伝 東京編 300 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/533861/60634018

この記事へのトラックバック一覧です: 石川啄木伝 東京編 299:

« 石川啄木伝 東京編 298 | トップページ | 石川啄木伝 東京編 300 »