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2014年12月26日 (金)

石川啄木伝 東京編 319

 彼女の心を掴んでいる点で絶対的な自信をもってきたのである。まさか妻が自分を「ゲザのたぐい」かも知れぬと疑っていようとは思ってもみなかった。
 啄木は上京後の節子に腑に落ちぬものを感じていたのは確かである。いや彼女の言動に自分への「批判」を感じたからこそ、あそこまで自己変革したのだ。そしてこの変革をつづけて行けばきっと彼女の愛をふたたび取り返せると思っていたに違いない。
 その彼女が自分を捨ててしまうとは! 彼女に自分を捨て得る心があったとは! 永遠に戻ってこない恐れもありうるとは! 
 啄木は根底から自分と節子のこれまでを見つめ直したことであろう。一点のごまかしも無く。節子をここまで追い込んだ自分の問題点を隅々まで点検したであろう。余すところ無く。

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