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2015年4月25日 (土)

石川啄木伝 東京編 337

 鹿野政直は言う。この「百回通信」において
   啄木は、生活への関心のふかまりを、政治思想化し経済思想化する視点を確立したようにみえる。それは、社会主義思想としてはまだ結晶していないけれども、一文学者ないし一ジャーナリストあるいは一人間の時評としては、おどろくべく視野のひろいものである。政治・経済・外交・社会などの問題へのふかい関心が随所に示されており、文芸問題すら政治・社会問題の一局面としてとりあつかわれている。その関心は、イギリスの政治、中国問題、東北振興問題、地租軽減問題、工場法の問題、教育問題などにわたり、かつてのような高踏的超越的な近代批判はかげをひそめ、現実へふみこんでゆこうとする姿勢がいちじるしい。
と。

 「洞然として空虚なる人生の真面目を、敵を迎へた牡獅子の騒がざる心を以て、面相接して直視するといふ事は容易に出来る事ではない」と「人生の真面目」を前にたじろいでいた啄木が「直視する人」となったとき「おどろくべく視野のひろ」さを示す。かれの全資質が徐々に全面的に開花しはじめたのである。 

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