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2020年1月11日 (土)

石川啄木伝 東京編 1910年(明治43)その9

 小川武敏はいう。「こういった老人と若者のメイン・テーマに
絡みながらもうひとつのサブ・テーマが『道』に存在する。それ
は性的な主題である」 と。
 小川の考察に導かれつつ、この面から「道」を読んでみよう。
その場合の隘路はテキストの伏字である。「新小説」4月号のテ
キストによると伏字には主に二点リーダー「‥」が使われている。
二点リーダーを活字1字分として、伏字部分と推定できる箇所を
数えると16箇所計294字分もある。その外にダッシュを用いた伏
字が4箇所、計12字分ある。20箇所計306字分はひどい。啄木が
郁 雨宛書簡(1910年4月12日)でふれているのはそのことだ。
  『道』――あれには方々に‥‥‥‥だの――だのが沢山あつ
たらう。あれは皆「新小説」の奴等が禁止を恐れての仕事だ。随
つて意味のつゞかぬところもあるよ。
 「風俗壊乱」という凶器を振り回して性に関する表現を徹底的
に抑圧する国家権力を恐れ、春陽堂の編集部も神経質に自主規制
したわけである。しかしこの伏字は「道」のサブテーマの読みを
損なうことおびただしい。伏字部分の推定的復元なしに「道」を
読み評価しては著者に対して公正を欠くであろう。以下伏字部分
を含む引用にあたっては試験的にわたくしの復元例を入れること
にしたい。

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