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2020年4月 3日 (金)

石川啄木伝東京編1910年(明治43)その85

 彦太郎の会話のつづきがさきの石川正雄の引用部分であ
る。「時代の推移といふものは君、存外急速なもんだよ。
色んな事件が、毎日毎日発生するね。」には、ミリュコーフ
や煙山の本のなかの事件はロシアのことであって、日本と
は無縁と思おうとしていた作者啄木の、今回の事件に対す
る感慨が映し出されている。これにつづく二つのセンテンス
には事件を引き起こす社会的諸条件の存在を認識しようと
する意識が表れている。さらにつぎのセンテンス「さうして
其の色んな事件が……」は啄木が(幸徳)事件に新しい社会
出現の遠い、遠い予兆を見ていることを示す。
 石川正雄の読みは時代を超える卓見だったのである。
 さて、幸徳事件が三章途中でこのようにくっきりと影を落と
しているとすれば、四章以後はどうであろう。啄木の事件への
関心は高まる一方なのだから、より濃厚な影響が見られるはず
であろう。

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