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2020年5月30日 (土)

石川啄木伝東京編1910年(明治43)その140

  韓国併合批判の歌 
 九月九日夜、啄木は歌を作り始める。
 「九月九日夜」の歌三九首をすべて引こう。函館市中央図
書館所蔵の啄木歌稿ノート カラーコピーからの引用である 。
 インクの色・罫線(一本)挿入・行間スペース一箇所は歌
稿ノートカラーコピーに基づいている。用いられているイン
クはと黒である。以下に見るとおり赤インクの歌群二つ
(これをA歌群、C歌群としよう)、黒インクの歌群二つ
(B歌群D歌群)、計四つの歌群からなっている。(A1~D6
の記号は近藤が付した)
     
   九月九日夜 
何となく頭の中に水盛れる器ある如しぢつとしてゐる   A1
ふるさとの床屋の鏡わが顔と麦の畑をうつせし鏡     A2
       ―――――――――――
いらだてる心よ汝はかなしかりいざいざ少し欠伸などせむ A3
叱られてわつと泣き出す子供心その心にもなりてみたきかな  A4
顔あかめ怒りしことが翌日はさほどにもなきをさびしがるかな A5
何事も金々といひて笑ひけり不平のかぎりぶちまけし後  A6
誰そ我にピストルにても打てよかし伊藤の如く死にて見せなむ A7
地図の上朝鮮国に黒々と墨をぬりつつ秋風を聞く B1
明治四十三年の秋わが心ことに真面目になりて悲しも B2
売ることをさしとめられし本の著者に道にて会へる秋の朝かな B3
何となく顔が卑(さも)しき邦人の首府の大空を秋の風吹く B4
秋風の来るごとくに来りたる我の疑惑は人ししらなく B5
ふがひなき我が日の本の女らを秋雨の夜にのゝしりしかな B6
庭石に時計をはたと擲てる昔の我のなつかしきかな  B7
怒れども心の底の底になほ怒らぬところありてさびしき B8 
家に入りて我壁に対す壁語らずしづかに壁を撫でて悲しむ B9

 

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