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2020年6月29日 (月)

石川啄木伝東京編1910年(明治43)その165

 この記憶を参考にすると、東雲堂に「一握の砂」の完成
原稿を届けたのは16日(日)の午前または昼ということに
なる。東雲堂は東京朝日新聞社に近い。通勤途中において
行ける。啄木は13日夜に作った歌20首を『一握の砂』の3
つの章に編み込んでいる。13日夜はまだ清書の段階ではな
いであろう。「原稿の控へ」の作成と原稿の清書に14日、15
日の2日は当然要るであろう。どんなにはやく想定しても
15日である。15日ないし16日の線は別の根拠による藤沢全
の推定とも一致する 。わたくしは丸谷の言があるのでまた
13日夜以後に要するであろう時間のことも勘案して、16日
をその日と推定する。
 この時の原稿の内容は吉野章三あて書簡(10月22日)に
よってわかる。
 『一握の砂』と題して来月上旬東雲堂より発刊致すべく、
一首を三行に書くといふ小生一流のやり方にて(現在の歌
の調子を破るため)歌数五百四十三首(三分の二は今年に
入りての作)頁数は二百八十六頁にて恰も『あこがれ』と
同じになり候も一奇と申さば申すべきか……
   ……目次は次の如し
    我を愛する歌
    煙(一及二)(これは故郷と少年時代の回顧)
    秋風の心よさに(一昨年の秋の紀念)
    忘れがたき人々(一は函館より釧路まで、
              二は智恵子を思ふ歌)
     手套を脱ぐ時(これは右以外のうた)
……新詩社趣味の歌は一切捨てゝしまひ候、呵呵、
猶来月の雑誌『創作』に「一利己主義者と友人との対話」 
といふ奇妙なものを書き……  
歌集の内容は、真一挽歌追加関連の件を捨象すると基本的に完成している、ととらえてよいだろう。

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