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2020年7月21日 (火)

石川啄木伝東京編1910年(明治43)その183

 さてⅠの歌は第五の章「手套を脱ぐ時」にも多くが配さ
れているのだが、第五章を特徴づけるのは第一章には無い
タイプの歌々である。
  よごれたる煉瓦の壁に
  降りて融け降りては融くる
  春の雪かな
 この歌では啄木の外界の事物が詠まれ、かれ自身の意識
や行動は歌の奥に潜んでいて姿をみせない。
 もう一例あげると、
  大海の
  その片隅につらなれる島島の上に
  秋の風吹く
 歌の奥には韓国併合批判が潜むのだが、表には一切見えない。
 こうした外界の事物が詠まれた歌々を、第五の章に特徴的 
な歌ということで「Ⅴの歌」と呼ぼう。
 「手套を脱ぐ時」に特徴的であるといっても、真一挽歌を除
く107首中のⅤの歌は37首(35%)にすぎない。残りの
70首(65%)はⅠの歌である。二つの章の計258首(真一
挽歌を除く)中 のⅠの歌は221首(86%)であり『一握の
砂』の根幹・精髄は Ⅰの歌であること、一目瞭然である。

 

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