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2020年8月 2日 (日)

石川啄木伝東京編1910年(明治43)その192

 第3番目の章「秋風のこころよさに」は「明治四十一年
秋の紀念なり」と『一握の砂』小引にあるごとく、全51首
中45首が1908年(明41)秋の作である。あとは09年の作が
2首、10年3、4月の作が2首であり、第一次『一握の砂』
編集時には49首がすでにできていた(10月10日以後の作が
2首)。
 1908年秋下宿を追放されそうになった啄木は金田一京助
の友情に救われ、秋と冬の食と住を確保できた。窮迫の秋
を安堵の秋としてくれた金田一への感謝をこめたタイトル
である。
 タイトルに案内されてこの章を読んで行くと全51首はす
べて秋の歌のように感じてしまう。実のところ秋の歌は半
分も無いのである。
 全51首は最初の18首、次の16首、第3の17首の3グループ
に分けることができる。その第1のグループと第3のグル
ープに秋の歌を多くいれることによって、章の全歌が秋色
に染まって見えるように編集されている。 
 篠弘は言う。
 「秋風のこころよさに」の作風は、……四三年のものとは
ちがって……「自分でもつかみきれない悲しみに浸り、そこ
をさまよいつづけるような世界である。悲しみの源泉が明
確になっていない点で、作者の思索的な表情が見えてこな
い点で、まだリアリティを欠いて」いる、と。

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